登記とは、相続によって不動産を取得した場合、それが自分ものであることを他人に主張するためにおこなうものです。登記しなければ罰せられるというわけではありません。「当然、相続権を有する私たちが遺産を受け取ることができて、私たち以外の所に行くわけがない」と考えている人もいるようですが、本当にそうでしょうか。不動産をめぐる相続問題は、とかくスムーズにいかないことが多いものです。つまり、登記をしておかなければ、後々困ることが起きるのが不動産相続の常識と考えておいたほうがいいと言えるのです。
例えば、兄弟二人が共同相続したはずの土地を、兄が弟の印鑑を盗用して勝手に自分名義の単独所有にする登記をして、これを第三者名義に所有権移転の登記をしてしまった場合などが実際にありました。不動産をめぐる相続には第三者が介入して事態を複雑にさせやすいのです。また、不動産犯罪に巻き込まれなくても、長い間登記を放置しておくと相続権が次第に増えて、遺産分割の協議が整わなくなることも多々あり、法律問題をさらに複雑化させます。
* 登記をしてないと「対抗」ができない。
ここでいう「対抗」とは法律用語の「対抗」を指しますが、ここでいう対抗できないとはどういうことなのでしょうか。法律学的解釈を基に簡単な事例に当てはめて考えてみましょう。
物件や債権の二重譲渡など、二人の権利者がそれぞれ権利を相争う関係にあるとき、対抗要件(登記、引渡し、通知・承諾など)の具備の前後によってその優劣を決定しようする対抗要件制度というものが存在します。この制度は、現実には対抗要件の「早い者勝ち」としますが、それは「対抗要件を備えることができる立場にあるにもかかわらず、それをしない以上、不利益を受けてもやむを得ない」とする思想があるからなのです。
これを以下の事例に当てはめて考えてみましょう。
相続に関して自分の他にもう一人(兄弟姉妹など)土地の相続の権利を持つAさんがいたとします。二人の関係が悪く、相続の権利について争っていたときに、自分はまだ登記を行っていないのに、Aさんはすでに登記などの対抗の要件になる手続きを済ませています。このとき、早い者勝ちで相手に権利を取られてしまう可能性が高いということです。どうして登記などを早く行ったほうが有利かといえば、権利があるのに行使しない自分が悪いと解釈されてしまうからです。すぐに登記をしなかった自分の自己責任ということですね。
つまり、すぐに登記を行うということはいち早く自分の権利を確保することに繋がるのです。ですからやはり、登記は速やかに実行しておくべきでしょう。
登記の申請は登記権利者と登記義務者が共同で行うのが原則ですが、相続登記の場合では登記義務者(非相続人にあたる者)は亡くなっているので相続人だけで申請できます。ただしその際、法廷共同相続人全員を相続人として示し、その法廷相続分を持ち分とする共有登記でなければなりません。なお、この場合、法廷共同相続人のうち一人からでも、登記申請をすることができます。(ただし、遺産分割協議で法定相続分以外の相続登記をする場合を除く)
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